
1890年、島根県松江尋常中学校と師範学校に英語教師として赴任した1年半の出来事が綴られている。実際の原本は700ページにもわたるもので、この本はそこからの抜粋になるようだ。
それにしても当時の日本人とはそれほど好奇心が旺盛で礼節をわきまえ温厚で優しい人たちばかりだったのだろうか?それとも松江の人々がそういう人たちだったのだろうか?出雲大社を有する島根だから人間も神様のように素敵な人が多いのかもしれない。
待てよ!
以前フランシスコ・ザビエルの書にも日本人に関して似たような記述を聞いたことがあるので、昔の日本人とはそういう民族だったのかもしれない。
現代の日本人は脳味噌は少しお利口になってはいるが、そういった心根を無くしてしまったように感じる。この本を読むと、出てくる地名や人の名前は確かに日本なのだが、いったい何処の話をしているのか羨ましく感じる場面によく出会わした。
もちろん自分も、そういったぜひとも仲良くなりたいと思うような素敵な人間から遠く離れている。少しでもそんな人間になるように心掛けて生きていきたい。
日本民族の原風景に出会えるいい本だった。